越後の龍・上杉謙信の勧請文が残る「武水別神社(たけみずわけじんじゃ)」で御朱印を頂きました。
2022.06.08参拝

「武水別神社」
所在地:長野県千曲市大字八幡3012
駐車場:あり(無料)
アクセス:上信越自動車道「更埴IC」から約10分、しなの鉄道「屋代駅」またはJR「稲荷山駅」からタクシーで約10分
信濃の地に、古くから武士たちの信仰を集めてきた八幡宮があります。
それが、武水別神社です。
平安時代から続く歴史を持ち、源氏の氏神として知られる八幡神を祀るこの神社は、
鎌倉時代の武将・木曽義仲や、戦国の名将・上杉謙信といった武将たちが戦勝を祈願した場所としても知られています。
川中島の戦いという歴史の大舞台とも深く関わるこの地には、
戦の前に祈りを捧げた武将たちの想いが、今も静かに息づいているように感じられます。
今回は、そんな武水別神社を訪れ、その歴史と魅力をじっくりと辿ってきました。
■歴史
第8代孝元天皇の時代に鎮祭されたと伝わります。
孝元天皇は欠史八代の一人で、その実在性について詳しい事はわかっていません。
六国史での初見は貞観8年(866年)で、無位から従二位の神階奉授を受けたとあるそうです。

境内の一角には「甲越八幡の戦い」の記念碑があります。
歴史的にも有名な川中島の戦いの初戦は武水別神社付近で行われた「更科八幡の戦い」でした。
⚔️ 村上氏の没落と川中島の戦いの始まり
天文22年(1553年)4月、北信濃最大勢力を誇っていた村上氏に大きな転機が訪れます。
武田家臣・真田幸隆の調略によって砥石城が落城。
これをきっかけに、味方であった国人衆が次々と武田方へ寝返り、支城も相次いで奪われていきました。
その結果、本城・葛尾城は孤立し、危機的状況に陥ります。
領国の維持が困難となった村上義清は、嫡男・村上国清とともに葛尾城を放棄。
越後の長尾景虎を頼って落ち延びました。
この出来事により、景虎は北信濃への介入を余儀なくされ、
のちに5度・12年にわたる「川中島の戦い」へと発展していきます。
🔥 失地回復戦と再びの敗退
同年5月、景虎の支援と反武田勢力の協力を得た義清は、
およそ5千の兵を率いて北信濃奪還に動き出します。
武水別神社近くの八幡で武田軍と激突しこれを撃破。
武田軍を深志城(現在の松本城)まで後退させることに成功しました。
勢いに乗った義清は、塩田城や葛尾城を奪還し、北信濃の領地を一時的に回復します。
しかしその後――
7月、武田晴信が大軍を率いて再び侵攻。
村上方の諸城は次々と攻略され、義清は塩田城へ籠城しますが、抗しきれず翌月には城を放棄。
再び越後へ落ち延びることとなりました。
⚔️ 景虎の反撃と決着なき戦い
9月、景虎は自ら軍勢を率いて北信濃へ出陣。
布施で武田軍と交戦し、先鋒隊を撃破すると荒砥城を攻略します。
さらに青柳城攻略へと進みますが、
晴信もこれに対抗し、援軍の派遣や荒砥城への夜襲を仕掛けるなど、長尾軍の退路を断つ動きに出ました。
戦況の不利を察した景虎は、八幡原まで後退。
一方の晴信は決戦を避けて塩田城へ入ったため、
最終的に大規模な決着はつかないまま戦は終結します。
景虎は、村上氏の旧領完全回復こそ果たせなかったものの、一定の戦果を挙げたと判断し、越後へ帰還しました。

「武水別神社拝殿」
⛩️ 武水別神社と八幡信仰の歴史
平安時代末期、この武水別神社一帯は、石清水八幡宮の荘園となっていました。
さらに安和年間(968年〜970年)には、石清水八幡宮から八幡神が勧請されます。
八幡神は源氏の氏神としても知られており、この地でも武士たちの篤い信仰を集め、地域を代表する八幡宮として栄えていきました。
⚔️ 武将たちの祈願の地
この神社には、多くの武将たちが戦勝祈願に訪れています。
鎌倉時代には、木曽義仲が越後の城資職討伐の際に戦勝祈願を行ったと伝えられています。
(NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、青木崇高さんが演じていたのも印象的でしたね。ワイルドさと可愛さがあってカッコよかったです😊)
戦国時代になると、川中島の戦いに際して上杉謙信もこの地で戦勝祈願を行っています。
その際の勧請文が今も残されているというのも、歴史好きにはたまらないポイントです。
🏯 江戸時代へと続く信仰
時代が下り、慶安元年(1648年)には江戸幕府から朱印地として200石が与えられ、
神社は公的にも厚く保護される存在となりました。
こうして武水別神社は、古代から中世、そして近世へと、時代を超えて人々の信仰を集め続けてきたのです。

嘉永3年(1850年)に再建された「武水別神社本殿」
善光寺平の五穀豊饒と千曲川の治水を祈念して主祭神に武水別大神がお祀りされています。

2020年公開の映画「透子のセカイ」のロケ地にもなっています。
主要キャストは吉本実憂さん、濱津隆之さん、白石優愛さん、FUJIWARAの原西孝幸さんです。
「透子のセカイ」あらすじ
主人公の透子が自分の住む村の「謎」を解き明かしていく、ミュージカルを取り入れた和風ファンタジー&ミステリー。
神社で巫女として働く透子は、いつも笑いの絶えない日々を過ごしていた。
そんなある日、透子は村の祭りが古い言い伝え
「100年の節目に祟りが起きる」
のせいで中止になることを知る。
みんなの反対を押し切って一人で準備を進める透子であったが、湖で不思議な少女と出会ったことで、事態は思わぬ方向へと転がっていく・・・。
詳しくは
映画「透子のセカイ公式HP」をご覧ください。

書置きで拝受した御朱印。
御朱印は本殿左側の祭儀所で頂けます。
限定御朱印もあります。
武水別神社は、ただの古社ではなく、
時代ごとに武将たちの祈りを受け止めてきた“歴史の交差点”のような場所でした。
木曽義仲や上杉謙信といった名だたる武将たちが戦勝を願い、
その想いが今もこの地に残されていると考えると、参拝の時間もより特別なものに感じられます。
川中島の戦いの舞台に近いこの神社は、歴史好きにとってはもちろん、
静かな時間の中で過去に思いを馳せたい方にもおすすめの場所です。
次に訪れるときは、また違った視点でこの地の歴史を感じてみたいと思います。